「従業員の強み・課題の見極め、従業員の得意を活かす戦略的な人材配置・人事異動」~タレントマネジメントは日本に根付くか~

現在、日本で『タレントマネジメント』(能力開発型)が注目されている背景3選

①少子高齢化に伴う慢性的な人材不足。
 日本の労働需要7073万人に対して、2030年には644万人の人材が不足すると民
 間のシンクタンクと大学教授の共同調査で予測されている。
 日本政府も、週休3日休日導入・公務員の届出/承認制であるものの『副業』解禁等の施策を推し進めていて人口に対
 して不足する労働力を現在の労働人口を市場に再生産(本業以外の仕事/副業)することで賄おうと重要な国家戦略
 と位置つけている。
②人材の多様化
 時代とともに働き方や仕事に対する価値観(就業観・就業意識)は多様化している。
そのため従来の日本固有の人材の新卒一括採用、社内での業務のローテーションを通じてのゼネラリスト育成のような画一的な人材マネジメントでは多様な人材の業務パフォーマンスが最大限発揮出来ない弊害がある。また人的資源管理政策が『組織志向的慣行』に基づいている日本の人事部が実施するインフォーマルなOJT研修(限定的な職務領域間で長期的なローテーション)は結果的に、半ゼネラリスト・半スペシャリストしか育たない環境を醸成している。
その弊害を解消するための施策として『タレントマネジメント』(能力開発型)がその一助として関心を集めている。  
厚生労働省公表の『平成30年版労働経済白書』第2節働き方の多様化に応じた能力開発等に向けた課題についてでは、多様な人材の能力が十分に発揮されている企業では、特に『職種・職能別の研修』、『役職別研修』といった実際に携わっている業務に関連する研修を適用されている者がより多い統計が出ている。
この統計データからみても、『タレントマネジメント』を人事管理の中心に据えている企業は労働生産性の向上や数年先の事業展開への備えを目的とする企業が多いことがわかる。
③急速な市場変化
『ChatGPT』に代表されるAI・IoT・ビッグデータなどの最先端テクノロジーの急速な発達や新型コロナウイルス感染大流行を契機とした経済活動全般におけるパラダイムシフトを経験したポストコロナ後の社会は、以前にも増して従業員により高度な能力を求められるようになっている。
今後も企業が求める人材の『専門分化』の波は衰えるどころかより大きな流れとして社会に浸透していくと容易に考えられる。

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