DVとは「配偶者または親密な関係にある男女間の暴力」である。
“暴力”とはいっても、身体的な暴力に限ったものではない。
身体的暴力はもちろんだが、心理的暴力、性的暴力、経済的暴力、子を利用した暴力など様々ある。
行為そのもので判断するものではなく、双方の間に支配関係が存在しているかが重要である。
加害者が、慢性的かつ長期的に被害者に暴力を行い支配しているなら、それはDVであるといえる。
いつも暴力をふるわれるわけではなく、時に優しい時があるからDVではないと思う人がいるかもしれない。
しかし、そうではない。
DVにはサイクルがあるのだ。
暴力をふるう時期(爆発期)のあとには大抵優しくなる時期(ハネムーン期)がくる。
そして加害者のイライラがたまる時期(緊張期)となり、そのうちに爆発期が訪れる。
緊張期に関して、被害者側に原因があることはほとんどない。
日常生活において加害者の思い通りにならないことは全てイライラの原因となるのだが
加害者にとってそれは全て被害者のせいとなる。
被害者は加害者がイライラしていることに敏感に気づき、何とか爆発期がこないように行動する。
自分の意思などお構いなしに、加害者がいかにイライラせずに済むかを最重要課題として動く。
この行動こそが、支配されているといえるのだ。
このサイクルが繰り返されるうちに、加害者の暴力はエスカレートし、被害者が受ける被害は深刻化する。
被害者は加害者から日常的に「お前のせいだ」と言われ、思いもよらないことで暴力をうけるうちに
頭の中で自分の落ち度を見つけるようになり、自分は無能であると思うようになる。
そのうちに加害者が正しいと思い込み、
この人がいなければ自分ひとりで何も出来るはずがないと思うようになる。
そして、加害者から離れることこそが怖いと思うようになるのだ。
もし、被害者が、加害者の行為がDVであることに気づき、自分たちの関係性が不自然であると
気づいたとしても、加害者を変えようとすることは不可能に近い。
加害者自身が変わりたいと思い、自分から行動を起こさない限り、加害者は変わらない。
被害者が救われる方法は
加害者と決別し、自分自身を取り戻すこと
だけである。
加害者から暴力を受け続けながら自分を取り戻すことは大変難しい。
まずは物理的な距離をとることが重要である。
暴力にさらされない環境で、加害者の機嫌をうかがわずに済む生活を送ること。
その中で、自分の意思で選択する機会を少しずつ増やしていくこと。
それがDV被害者でなくなるための方法なのである。
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